文部科学省宇宙航空人材育成プログラム 宇宙専門 管理栄養士/理学療法士(仮称) 育成講座文部科学省宇宙航空人材育成プログラム 宇宙専門 管理栄養士/理学療法士(仮称) 育成講座

カリキュラム

令和5年4月 徳島大学大学院 医科栄養学研究科にて
「宇宙栄養コース」開講!

長期宇宙滞在者を食と運動で支える“宇宙専門 管理栄養士/理学療法士(仮称)”の育成

図版の画像

【講義】
下記の内容を系統的に学ぶ:原則、E-learning。通年6単位の講義。

A. 「宇宙と栄養学・医学概論」(2単位)

▪️目的

アルテミス計画のように、近い将来、人類は月面で暮らすことを目指している。月面で安全・安心に、かつ、長期間、生活するには、「食事」が非常に重要となる。本講義では、宇宙空間で起こる疾患の病態を学ぶとともに、それを調整しうる食材(機能性食材)の開発方法や宇宙での栽培方法などについて概説する。

1.宇宙と栄養・医学概論
2.未利用バイオ系廃棄物の利用技術
3.宇宙と腎臓
4.有人宇宙活動
5.宇宙生活と殺菌技術
6.宇宙で使われるLED
7.抗菌処理、抗菌加工品
8.宇宙空間と筋萎縮
9.宇宙植物栽培研究と月面農場
10.LED植物工場の可能性
11.長期有人宇宙活動を実現するための閉鎖生態系生命維持システム
12.サルコペニア・フレイルと栄養評価
13.がん免疫チェック療法とAdenosine deaminase acting on RNA1
14.ビタミンDと宇宙飛行
15.宇宙老化と代謝異常

B. 「宇宙運動学」(2単位)

▪️目的

宇宙空間は無重力環境である。宇宙医療のプロフェッショナルの育成するために、無重力環境が心身にどのような影響を与えるかを学び、また、対処の方法を学ぶプログラムが必要となる。行動が制限された状況では身体にどのような変化が起こるのか、また、運動することで身体にどのような効能があるのかを、基礎的なことから学ぶカリキュラムが必要であり、宇宙で心身を健康な状態に維持するための方策を立てられるよう、いくつかの研究を遂行し、論理的思考ができる人材を育成しなくてはならない。また、新たな知見を見いだし、対策を講じられる人材を育成するプログラムである。

1.リハビリテーション医学・医療の意義と歴史
2.わが国におけるリハビリテーション医学・医療の現状
3.リハビリテーション医学・医療と宇宙医学、災害との関連
4.運動器、神経系の臨床解剖
5.循環器、呼吸器の解剖と生理
6.骨格筋の解剖と生理
7.リハビリテーション医学・医療に必要な運動学
8.不動による合併症
9.診断のポイント、検査・評価法
10.訓練の進め方・ポイント・リスク管理
11.運動療法(筋力増強訓練と持久力訓練)
12.作業療法
13.電気刺激療法の基礎と実際
14.リハビリテーション診療と栄養管理
15.メンタルヘルスとその対応

C. 「特殊環境栄養学」(2単位)

▪️目的

避難所の生活は、閉鎖的環境での集団生活であり、電気やガス・水などのライフラインや調理器具などにも制限がある特殊環境での生活である。このような特殊環境には、避難所の他にも南極観測基地や長期航海を行う船・潜水艦などがある。また、現在運用中の国際宇宙ステーションや天宮号宇宙ステーション、現在計画中のアルテミス計画の月面基地などもこの特殊環境に含まれる。このような特殊環境においても、人類が生活する上で適切な食・栄養の摂取は不可欠である。現在、宇宙渡航が限られた人のみであるなどの理由により、宇宙における食・栄養に関する課題の抽出などは不十分である。そのため、宇宙環境と同じく特殊環境である災害時の食・栄養に関する知見やエビデンスなどを用い、宇宙での食・栄養などについて概説する。

1.特殊環境での食と栄養
2.宇宙食開発の歴史
3.災害食開発の歴史と宇宙食
4.宇宙日本食とは(JAXA認証)
5.日本災害食とは(日本災害食学会認証)
6.宇宙における栄養基準
7.災害時等における栄養基準
8.宇宙における健康問題と栄養
9.災害時等における健康問題と栄養
10.特殊環境における調理
11.特殊環境での栄養アセスメントのポイント
12.災害時の食・栄養支援の実際
13.支援者の食の実際(国際緊急援助隊等)
14.月面でのフードシステム
15.月面滞在に向けた食の課題解決

【実習】
夏(JAXAにて実施予定)と秋(京都府立医科大学にて実施予定)に計1週間程度の実践的訓練を受ける。

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